お知らせ

学長推薦図書 その1

「双頭の鷲—北條時敬の生涯」 丸山久美子著 工作舎発行 2018年4月

 石川県が生んだ偉大な教育者北條時敬(ときゆき)の、誕生から臨終に至るあゆみ、生きざま、信条を丹念に綴った評伝である。北條は、石川専門学校教師、第一高等中学校教師、山口高等学校校長、第四高等学校校長、広島高等師範学校校長、東北帝国大学総長、学習院院長を歴任。「加賀の三太郎」、すなわち、日本ではじめて本格的な哲学体系をうち立てた西田幾多郎、禅を世界にひろめた鈴木大拙(だいせつ)(貞太郎)、国文学を学問として創始した藤岡作太郎をはじめとする多くの教え子から「生涯の恩師」と敬慕された。著者丸山氏は、計量心理学者。氏の文章は、科学者らしい、エビデンスに基づく、淡々として抑制の効いた記載のうちに、明治〜昭和期を代表する教育者・哲学者を語るに足る格調と詩情も湛える。
  


 
 
 
 Further reading: 「山川健次郎伝:白虎隊士から帝大総長へ」 星亮一著 平凡社発行 2003年10月 
 
  戊辰戦争に敗れ、本州北東の斗南(となみ)藩へと移った旧会津藩は、将来への希望を一人の少年に託した。山川健次郎白虎隊幼少組隊士が、そうである。「死んで来いッ」と15才で書生に送り出され、18才で渡米した健次郎は、イェール大学で物理学を修め、帰朝後日本人として初の東京帝国大学物理学教授・理学博士、やがて東京帝大総長となる。田中館(たなかだて)愛橘(あいきつ)や長岡半太郎を育て日本の物理学会を領導するとともに、九州帝大初代総長、京都帝大総長、明治専門学校総裁、武蔵高校長を兼任、わが国の高等教育の礎を築いた。
 山川は「双頭の鷲—北條時敬の生涯」にも登場する。北條時敬 vs 山川健次郎、はたして、その帰趨や如何?