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学長推薦図書 その2

「幸福寿命—ホルモンと腸内細菌が導く100年人生」 伊藤裕(ひろし)著 朝日新聞出版発行 2018年3月 

 
  「死ぬまでずっと幸せでいたい」それが、私たちの究極の願いではないか?内科学者伊藤氏は、このような発想から、「幸福寿命」の提唱に至ったという。本書には、幸福寿命とは何か?また、どうしたらそれを、健康寿命、さらには生命寿命に近づけることができるか?に関して、内分泌学、腸内細菌、エピゲノム、臓器記憶など、さまざまな観点からの炯眼が鏤(ちりば)められている。
 2018年7月13日、第五回開学記念市民公開講座が伊藤教授を講師として行われる。その折には、たとえば、皇帝ペンギンはなぜ、マイナス数十℃の厳寒の中、何も食べずに卵を抱いて立ちつづけ、いつまでも限りなく伴侶を待つことができるのか?など、幸福や寿命に関係する、魅力あるエピソードの数々も伺えるであろう。乞うご来聴。乞う本書閲読。


 
  


 
  Further reading:「サピエンス全史―文明の構造と人類の幸福」(上)(下)  ユヴァル・ノア・ハラリ著
河出書房新社発行 2016年9月
 

 「人類は生物進化を超えられるか?」という命題への、若き歴史学者の挑戦の書。著者は、主観的幸福度はセロトニンなど脳内物質に依存し、これらの物質の分泌を促す外的刺激は変更できても、分泌される物質の濃度変化は一過性で、かつ一定の範囲を超ええず、そこに歴史の限界がある、と述べる。たとえば、シャンゼリゼ通りの豪華なマンションに住む現代の銀行家の幸福感は、泥でできた小屋でブタを飼っていた中世フランスの農民の幸福感を、微塵も上回っていないだろう、と説く。圧巻の終章は、人間をより幸福にする科学技術革新への期待とそれに伴うリスクへの警鐘で閉じられる。