お知らせ

  • 2019/05/28
  • 副学長 木村先生推薦図書 パート1
  • 「流れといのち」
    The Physics of life
    ― The Evolution of Everything ―
    
    著者 エイドリアン・べジャン(Adrian Bejan)
    訳者 柴田裕之
    解説 木村繁男 
    2019年5月 紀伊國屋書店発行
    
     著者Adrian Bejanは1948年ルーマニアに生まれる。現在、米国Duke大学J.A.Jones Distinguished Professorであり、熱力学の第二法則に基づく熱設計の最適化という分野を切り開いた鬼才として知られている。90年代半ばに、マクロな現象を説明する物理学の第一原理として「コンストラクタル法則」を提唱した。以来、万物の構造を決定する原理として、この法則を縦横無尽に駆使し、生物の進化、社会インフラから惑星までも研究対象として、それらの中に形成される構造が何故ある特異な形状を持つのかを解き明かしてきた。しかし私にとってなによりも重要なのは、40年前の彼との出会いが私の人生を定義したということである。
    
    彼が学生時代を過ごしたMITでは「熱力学第二法則の闘士」という異名をとったことでも知られている。「熱力学の第二法則」について彼が語りだすと、恐れをなして皆が逃げ出したとの逸話を残している。しかし、熱力学が持っている制約、すなわち(体)系の平衡状態の存在と可逆的な状態変化という二つの仮定に、彼は最後まで納得できなかったのではないか。なぜなら、世界は非平衡状態に満ちており、その変化は常に不可逆的であるからだ。そして、彼の世界認識は「熱力学」の殻を破り、その思考は「熱力学」の破壊へと向かって行ったように思える。