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学長推薦図書 その6

ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳


 「ホモ・デウス―テクノロジーとサイエンスの未来」
2018年9月 河出書房新社発行

 
  
 シリーズ2冊目として「幸福寿命」(伊藤裕著)を推薦した折、Further readingとして紹介した、「サピエンス全史」(ユヴァル・ノア・ハラリ著)の続編。中央図書館開架コーナーに収められている「サピエンス全史」を読んだ後、紐解いてもよいし、「サピエンス全史」を適宜参照しつつ、読み進めるのも手。本著「ホモ・デウス」には、トランプ大統領、安倍首相、プーチン大統領、グーグル、トヨタ、アマゾン、人工知能、遺伝子工学、IoTといった現代の人物、企業、技術が登場するので、取っ付きやすい面もあり、いきなり「ホモ・デウス」からはじめるのもありだろう。
 さて、「ホモ・デウス」とは、「神人」の意。すなわち、テクノロジーとサイエンスの発達により、飢餓、疫病、戦争を克服し、不死、幸福、神性を獲得する人類または人類の一部を指す。「自動車が馬に取って代わったとき、私たちは馬をアップグレードせず、引退させた」、AIが進歩し、人間に代わってさまざまなことを行うようになると、存在価値や雇用を失った、巨大な「無用者階級」が形成されるかもしれない、と記す。哲学者ニーチェはかつて、御者に鞭打たれる馬に、「(動物機械説を唱えた)デカルトを許してくれ」と泣きながら謝ったというが(Milan Kundera「The Unbearable Lightness of Being」)、未来の超人は無用者に「AIを許してくれ」と謝りはすまい。ハラリは説く:「本書で概説した筋書きはみな、予言としてではなく可能性として捉えるべきだ」、「歴史の研究は、私たちが通常なら考えない可能性に気づくように仕向けることを何にもまして目指している」。皆さん自身と人類、地球の未来を切り開くオルタナティブな可能性に想いを致していただきたい。




  

 Further reading: ジャレド・ダイアモンド著、楡井浩一訳
 「文明崩壊:滅亡と存続の命運を分けるもの」上・下
        2005年12月 草思社発行

 
 壮大な人類史論「銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎」(2000年 草思社発行)を著したジャレド・ダイアモンドによる地球環境論。17世紀ポリネシアにおけるイースター島社会の崩壊、徳川時代の日本における森林保護の成功など、過去の実例を緻密に検証しつつ、現代から将来に亘る地球人に、危機意識溢れる警鐘を打ち鳴らし、また、炯眼に富む持続可能社会づくりへの提言を行っている。